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「地図に残る仕事」を探してJICAへ 途上国のリジリアントで持続的な開発と、地球環境の維持に貢献!
- 2023/5/1
- 卒業生, 理窓 2023年5月号
大学生活
入学当初、大阪出身の私は、関東の文化、理科大の雰囲気になかなか馴染めず、また勉強には身が入らず、アメリカンフットボール部の活動が大学生活の主体となりました。入学当時に学科長から土木工学という学問は、戦前までは軍事で重要な数学、物理と共に、土木工学は社会を支える大変大事な学問とお聞きして、やる気が見えたのも束の間で、勉学には受け身で自ら率先して学ぶ姿勢に欠けていました。それは今となっては、後悔しているところです。
しかし、3年生で研究室を選ぶ際に、当時、興味があった都市計画を学ぶべく「内山研究室」の門をたたき、それまで興味のなかった勉強にも少し真面目に取り組むようになりました。それは、恩師の内山久雄先生が、コンサルタントとしての業務経験もあり、実務と研究のバランス感覚が素晴らしく、また人間味溢れるご指導をいただいたことが影響しています。
理系の学生は、4年生で卒業論文や修士を目指して、研究、勉学を進めますが、私は土木業界ではなく、海外での業務への憧れと「地図に残る仕事」を探して、文系学生のように春先から連日のように就職セミナー、OB訪問、面接などで時間を要していました。そんなある日、内山先生から現在、勤務する国際協力機構(JICA)の業務を紹介いただき、無事に試験や面接を突破し、96年からJICAで勤務することとなりました。
私の仕事:JICA
JICAは、開発途上国の開発のために協力を行う組織で、まさに地図に残るインフラ事業や、大規模な農業開発事業など、就職活動を行っている際には想像していなかった業務を行っています。私はこれまで、本部がある東京以外でもメキシコ、モザンビークで勤務し、業務出張などで約70ヶ国訪問しました。途上国では日本と文化、社会も大きく異なり、日本では経験できない事象や事件が連日のように起こり、最初は戸惑うこともありましたが、自分が各国の開発や状況の改善に役立つことが実感できると多くの喜びと感謝の気持ちでいっぱいとなります。
現在は、地球環境部という部署で、気候変動対策や都市の大気汚染、水質汚濁、廃棄物管理を進める業務を行っています。
今の日本は、環境負荷が少なくきれいな街で生活を送ることができますが、60、70年代の高度経済成長時に経済活動を優先し、環境への対策が後手に回ったことから70、80年代には都市部で大気汚染に苦しみ、河川もひどく汚れた状況でした。その後、行政、企業、市民の皆さんが協力し、環境汚染は大幅に改善し、今は都市部でも川遊び、自然を楽しむことができる状況になりました。
しかし、途上国では、まさに今、都市の拡張、人口の増加、産業化などで街にはごみが散乱し、環境規制が進められず、大気汚染、水質が悪化し、衛生的ではない環境での生活を強いられる状況となっています。これらの状況を日本の経験やJICAがこれまで途上国で協力した経験を活かして、短期間に、かつ低予算で環境の改善が図れるよう多くの国で協力を進めています。これらの活動が地域の環境対策に留まらず、気候変動や海洋プラスチックなど地球規模の課題の解決にもつながり、途上国がリジリアントで持続的な開発と、地球環境の維持に貢献できればと考えています。
JICAクリーン・シティ・イニシアティブ国際セミナーで発表
https://www.jica.go.jp/activities/issues/env_manage/jcci/2023/index.html
学生の皆さんへのメッセージ
まず、自分の可能性を信じてください。「自分には無理、不可能」と考えた時点で前に進む力を失いますので、自分の可能性を信じて、「なりたい自分」に向かって邁進していただきたいと思います。
その過程で自分の殻を破る経験をしてください。壁を越えた経験は、今後の人生、生活の糧になると思います(理科大生は、やや自信のない方が多いので、積極的に!)。そして比較的時間に余裕がある学生時代に将来の自分を想像し、様々なチャレンジを続けて、楽しく、充実した時間を送っていただければと思います。「後悔先に立たず!」