顧客の幸福感の傾向把握に基づくUXの創造やマネジメントの進化に関するマーケティング科学研究

研究室紹介
私は、1984年に本学理学部第一部応用数学科を卒業し、大学院工学研究科経営工学専攻の修士・博士課程に進学をし、国立電気通信大学に就職後、1990年に博士(工学)を本学(学位の主査は本学経営学部初代学部長の奥野忠一教授)から授与されました。その後、ずっと、経営情報学を情報理工学系の視点から研究しておりましたが、実際に社会でマーケティング・消費者行動のビッグデータ分析を活かすには、もう少し、経営学寄りのところで研究を発展させた方が良いと考え、師匠の奥野先生が立ち上げた、母校の経営学部に戻って参りました。
かつては、時代背景的に、商品の品質が高いものを目標とし、性能の良い製品への満足度が購入の最大の決め手になっていましたが、現在は、品質がある程度高いことは当たり前となってきており、それを、生活の中で顧客が活かし、顧客の生活自身がWell-beingになり豊かになっていっているかに視点があてられ、商品が開発され、マーケティングが行われる時代となってきました。椿研では、このConsumer Well-beingに関する研究を行っています。

研究テーマ
①消費者が、日々のどのようなことに喜びを見出し、労力をかけて生活をしていて、どのようなことが購買・利用によって充たされると、人生満足度が高まるかの予測・実証研究
②そのためには、企業側は、どのような提供・お薦めをして行くと、社会・経済自体の発展があるかの研究
③シビックプライドを高めることによる、住んでいる地域を起 点とした、子供・若者の成長や地域の産業の発展に関する研究

研究例
①Consumer Well-beingに関する研究については、1)幸福感を高める商品・サービスカテゴリーに関する研究、2)若者世代の消費活動に関する研究、3)百貨店顧客の幸福感の傾向把握に基づくUXの創造やマネジメントの進化に関する研究、4)メタバース・ショッピングの可能性に関する研究、5)フードデリバリーの進化に基づく現代の共働き世代の生活の豊かさへの影響に関する研究等
②シビックプライドに関する研究については、1)渋谷区の小学生に、渋谷に対するシティープライドを高めながら、創造力もつくような、AI等の新技術を使いつつ、算数、理科、社会、国語、英語、アート等を統合した授業を立案、計画、実施、提供し、将来、渋谷を起点に日本を発展させていってくれる児童の教育に関する研究、2)東京都檜原村の幸福感や地域力にはシビックプライドやリーダー、地域資源、森林産業等のどのような要素が関係しあって影響を及ぼしているのかに関するベイジアンネットワークモデリングによる研究等

学生への指導方針
卒論生以上は、社会に出た後の活躍のためにも、現実の社会や企業におけるデータを応用例として、アカデミックな仮説が実証できるようになった方がよいと考えています。しかし、演習データと実際のデータの分析には、格段の難易度の違いがあります。是非、一歩一歩階段を上るように実力を付けていって下さい。

卒業生コメント
増田 貴幸 株式会社NTTドコモ(経営学部経営学科2022)
椿研究室では、Consumer Well-beingのテーマに対して、実際の企業と提携し得られたデータに対して、ベイジアンネットワーク分析、PLS-SEM、CatBoostモデルのSHAP評価やICE評価等、各テーマの学生がデータに適した様々な手法により、自ら立てた仮説の検証を行いました。研究室メンバーと共に議論し、分析・検証を繰り返して、考え抜いた結果得ることができた知見と論理的な分析力は、現職のマーケティング戦略立案業務へ直結しています。IT業界で働く中、近年のデータ活用の需要を実感しており、椿研で研究できたことに心から感謝しております。

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