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東京理科大学の研究所を訪ねて(第1回)「火災科学研究所」
- 2020/1/10
- 大学, 理窓 2020年1月号
東京理科大学には、国際的に高い評価を受けている研究機関が数多くある。大学が誇る研究所をシリーズで紹介する。第1回目は野田キャンパスにある火災科学研究所を訪問して萩原一郎火災科学研究所長に話を伺った。
火災科学研究所の概要
学内での位置づけは総合研究院に属しており、共同利用や共同研究拠点である「火災安全科学研究拠点」と連携し、また、「国際火災科学専攻」とも連携している。①火災科学研究所は、前身の総合研究所火災科学研究部門を核とする組織が、2003年度文部科学省・21世紀COEプログラム(先導的建築火災安全工学研究の推進拠点)に採択されたことを受けて設置された組織である。②産官からの研究受託等の充実や、国際協力や社会貢献も含めて、多面的に火災科学分野の発展に寄与する活動を展開してきている。特に、東アジア地域を中心とするアジアの諸都市での火災リスクやその安全対策に関する分析、集中講義の開催、若手研究者の短期留学等を通じて、外国の教育研究機関との連携も強め、人材育成面でも貢献してきている。③2013年度に文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択された。④2018年から設置期間に定めのない火災科学研究所に変更された。
研究所の構成と施設設備
建築火災安全工学研究は、火災現象に始まり、煙流動や延焼拡大、それに対する避難行動や構造部材の加熱性状などが対象となる。火災科学研究所では、こうした多岐に及ぶ研究対象を、相互関係として位置づけ、「変容する空間・材料利用に対応する火災安全工学」を軸として、①「火災物理・化学現象」、②「火災時の人問挙動 (心理・生理・行動)」、③「性能的火災安全設計技術」に関する研究、そしてそれら要素を総合化し実用化を図る、④「変容する空間・材料利用対応の火災安全性能評価・設計体系の確立に関する研究」に携わる4分野について研究活動を展開している。こうした研究活動の一端を担うのが、火災科学研究所実験棟であり、大学に付属する火災科学研究専用施設としては世界トップレベルの規模を有している。
国際火災科学専攻
東京理科大学大学院理工学研究科の国際火災科学専攻の教育体制
(1)学生の募集は多岐にわたる
①学部からの進学
専攻には学部はなく、様々な学部を卒業した学生が入学対象になる。専門分野も様々で建築学科、化学科、物理学科、数学科や経営学科など多様性に富んでいるのも特徴である。
②留学生を積極的に受け入れる
国費外国人留学生の特別プログラムや中国留学生博物館との連携を推進している。現在、国費留学生9名が在籍している。さらに、韓国・湖西大学や中国・中国科学技術大学等とも連携している。また、国内の他大学や日本語学校からの受け入れも強化したいと考えている。
③社会人教育(スキルアップ)に対応している
社会人教育のため夜間大学院として平日の夕方や土曜日に講義をしている。また、消防士や防災設備会社等からも学生を受け入れている。
(2)教育の方針について
理論(講義)編と実践編(実習・演習)から成り立ち、実験棟を活用した実践系の研究を重視している。また、英語で修了(学位収得)することができる大学院でもある。火災科学を専門とする、アジア唯一の大学院で、多くの修了生は各方面で活躍している。
10月末の夕方、神楽坂キャンパスの池田憲一教授による講義では、すべて英語で授業が行われていた。この日はタイ、ベトナム、バングラデシュからの留学生と日本人学生が熱心に勉学に励んでいた。