デジタル庁で迎えた社会人1年目

3年前の6月、国家公務員総合職試験(旧Ⅰ種試験)に合格した。まだコロナの第一波のピークから1ヶ月ほどしか経っていない、大学院一年目のことだった。
合格は3年間有効ということもあり、それから1年ほどかけてじっくりと行きたい省庁を絞っていった。足しげく様々な省庁の説明会に参加し、そこで仲良くなった友人らと政策の仮説をぶつけあって議論しては、自分の知見をより深めていった。
そして合格から1年後。官庁訪問(希望する省庁の採用面接)の結果は意外なところに着地する。1年ほどかけて入念に省庁を絞ってきたが、最終的に自分が選んだのは、官庁訪問直前にふとしたきっかけで存在を知った「デジタル庁」だった。
新設の省庁でベンチャー気質があり、また1期生として働ける点、そして何より「デジタルというツールを軸に、あらゆる社会課題に切り込める」という点が自分の価値観にマッチし、他省庁のお誘いをお断りしてデジタル庁を選んだ。
そして今、入庁してからおよそ1年を迎える。この1年は「役人としての基礎力を養う1年」だった。配属としては、庁内全体の総合調整に携わる部署で働くと共に、秋以降は庁内国会業務の取りまとめ部署も併任して、組織内の調整機能としてコミットしながら、徹底的に役人の基礎力を鍛える1年だった。
また組織文化も特徴的だった。民間人材が4割近くを占め、良くも悪くも霞ヶ関とは少し異質な文化で、上下の関係をよりフラットにするという庁風もあり、なかなかに働いていて楽しい環境でもあった。
そしてこの春から2年目を迎える。この一年でどれほど成長できたか、なんてことは漠然としすぎていて分からないが、ただ一つ確かなことは「1年前に描いていた夢の、その筋道をより具体的に描けるようになった」ということ。
この組織はフラットに庁内全体に相談を投稿でき、それこそ業務の非効率を挙げると、民間専門人材が手早くツールを開発してくれるような事例がいくつもあった。この事例のように、ゆくゆくはフラットに世の中の非効率を集め、それをデジタルの力でスピード感を持って便利にしていく。そのようにして日本を「社会課題先進国」から「社会課題“解決”先進国」にしたい。その一翼を担えるような役人になれるよう、これからも変わらず研鑽を積んでいく。

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