- Home
- 卒業生, 理窓 2019年9月号
- スパコン「富岳」の開発に携わって
スパコン「富岳」の開発に携わって
- 2019/9/6
- 卒業生, 理窓 2019年9月号
理科大の修士課程を修了してから1年半が経とうとしています。現在、私は富士通株式会社で働いています。
文部科学省様が推進し、理化学研究所様と共同で開発を行っているスーパーコンピュータ(以下、スパコン)「京」の後継機である、「富岳」のミドルウェア開発を行っています。
大学時代、研究室でスパコンを使える環境に恵まれましたが、いざ使ってみると、世界トップクラスの性能を持つスパコンを使っても、膨大な計算時間がかかることを、身をもって実感しました。そこで、使うエンドユーザー側から、作る開発者側に進み、もっと速いスパコンを作りたいと思ったことが、スパコン開発者を目指したきっかけです。
世界トップクラスのスパコンは、数千~数万台ものコンピュータで構成されています。これら一台一台を制御しようとすると、システム管理者に大きな負担となってしまいます。私は、システム全体を容易に管理できる機能を提供する運用ソフトウェアを開発しており、安全な電源制御や一括制御を可能とするシステム制御機能を担当しています。
「富岳」プロジェクトは、2014年度より開始され、今年で6年目となる国家プロジェクトです。「富岳」は、創薬や生体シミュレーションによる健康社会の実現、地震・津波などの災害予測、エネルギー問題、宇宙の進化の解明、新機能デバイスや高性能材料の創成による産業競争力の強化など、科学技術のみならずさまざまな社会の課題解決に向け、世界最高水準のスパコンを目指しています。私は途中からの参加となっているため、日々学ぶことが多くて大変ですが、希望していたスパコン開発に携われているため、モチベーションを高く維持しながら、楽しく仕事をすることができています。
世界中の利用者に最高のスパコンを提供できるよう、今後も努力していきたいと思います。