医薬分子を通して人類の健康を守る

【活躍分野】
創薬研究の第一線で活躍する一方、医療現場で活かせる有機化学の研究をもっと身近に感じてもらいたいとの思いから、最近では一般読者向けに食べ物や飲み物にまつわるサイエンスを解説した書籍の翻訳も行っている。著作物『カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの?』 他

研究内容

医薬品は、平面で表される構造式からは想像もつかないような立体構造を持ち、それが薬理活性の鍵となります。私達は軸不斉という観点から立体化学を解析し、新たな医薬品を創出する創薬化学研究を行っています。また、医薬品の代謝や相互作用など、臨床現場と直結した様々なテーマに有機化学の力を使って取り組んでいます。大学の社会貢献も重要と考え、法中毒分野で必要とされる化合物を合成し、標準品として提供することも行っています。

1.創薬化学

軸不斉を活かした医薬品候補化合物の創製:
製薬企業ではできない、大学ならではの創薬研究を展開し、軸不斉を活用したより効果の高い医薬品候補化合物を創出しています。
希少疾患(Menkes病)治療薬の開発:
メンケス (Menkes) 病は、13万人に1人の小児が発症する先天性代謝異常疾患です。患児は銅を体内に取り込むことができず、重篤な銅欠乏になり、重度の中枢神経障害などが出現します。現在、有効な治療薬が存在しないため、脂溶性の高い銅錯体を分子設計・合成し、治療薬として開発することをめざしています。

2.法中毒化学

危険ドラッグの化合物ライブラリーの構築:
私たちの研究室では、有機化学の知識や実験技術を駆使して社会に起こっている問題にも取り組んでいます。その一つが覚せい剤や麻薬に似た作用を持っている危険ドラッグです。危険ドラッグの検出に役立つ化合物ライブラリーをつくり、薬物捜査などに携わる公的機関に標準品として提供しています。安全・安心な社会づくりに貢献出来たらよいと考えています。

3.新規な反応の開発

医薬品の代謝物合成も行っています。その過程で新規な不斉反応や、光反応をみいだすことができました。これらを基に、工業化に向けて企業と共同研究を進めています。

優れた人材の育成

薬学は分野が広く、多方面で活躍できます。たとえば、薬剤師を目指す学生には、医療現場で化学構造式に基づいて医薬品を理解する唯一の存在として専門性を磨いてほしいと思います。研究室では存分に研究を楽しみ、社会に出てからも研究マインドを忘れずに活躍できる人材を輩出することが目標です。

2020年度 研究室メンバー

[卒業生コメント]
 難波江 絢奈  東京都職員
(薬・生命創薬2019)

研究室では軸不斉異性体の合成及び立体構造の解析を行いました。研究室生活では、反応経路や分析機器への理解を深めることの重要さを学びました。また、社会に出る前段階として、大人としての振る舞いや協調性を身に付けることができ、自信をもって社会人への一歩を踏み出すことができました。

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