医学・医療の諸問題の解決を目指す医療統計学

研究室紹介

世間の注目を集めるデータサイエンス。豊かな生活に必要な健康や医療のこと。これらの学問を合わせたものが、医療分野のデータサイエンス(医療統計学)です。医療の発展には統計学が必要です。本研究室では、医療統計学の方法論を発展させるとともに、実際の医学研究や毒性試験に参加して、得られた成果を社会に還元します。

研究テーマ

卒業研究・修士研究では、実際の医学研究、毒性試験、疫学研究に参加して、新たな科学的知見を見出したり、新しい医療統計学の方法論を開発したり、新しく提案された方法の性能を評価したりしています。
京都大学、大阪大学(寒水先生が以前所属していた大学)、順天堂大学、各種研究機関(国立医薬品食品衛生研究所)、企業との共同研究が多いのも特徴です。
卒業研究・修士研究のテーマの例を紹介します。
(1) 医療統計学の方法論の研究(理論研究)
●臨床試験における既存データと新規データの患者背景の違いを考慮したベイズ流解析モデル
●3群比較臨床試験における優越性検定と非劣性検定の検出力を考慮した2段階試験デザインの構築
●生存時間解析を主解析とする臨床試験の試験期間の不確実性を評価する方法の構築
●傾向スコアモデルにおける変数の重要度を考慮したOutcome-Adaptive Lassoの構築
●臨床試験における主要評価変数の型と変数間の相関を考慮した標本サイズ設計法の提案
(2) 医学データの解析(医学研究の実践)
●大動脈弁膜疾患患者の弁口面積に対するワルファリンの影響
●生体肝移植におけるドナーの年齢がレシピエントの予後に与える影響
●IgA腎症の発症・進展を予測するための尿所見とバイオマーカーの利用可能性
●胸腺上皮性腫瘍の手術後の再発または他がんによる死亡リスクの予測
●早期新生児期における動脈管開存症の予後因子の検討

キャリアパス(進路)

卒業生の進路は、学部と大学院(修士課程)で大きく異なります。学部生は、製造業、情報通信業、金融業の企業に就職することが多いです。大学院生は、医療統計学の専門職として、製薬企業の開発職に就職することが多いです。例えば、製薬企業の就職先の実績として、第一三共、田辺三菱製薬、塩野義製薬、協和発酵キリン、小野薬品工業、ノバルティスファーマ株式会社、日本イーライリリー株式会社などがあります。製薬企業の開発職の仕事は、医療統計学の専門性を発揮できるとても魅力的なものです。
研究室メンバー : 2020年度
助教1名、博士後期課程学生4名、修士課程学生9名、学部4年生8名、秘書2名の計25名

[卒業生コメント]
 町田 龍之介  国立がん研究センター
(工・経工2016/修2018 現在 博士後期課程在籍)学部4年と修士課程では、製薬企業の統計家とともに、がん臨床試験における試験期間の予測方法の構築に取り組みました。国内外での学会発表(計3回)や論文作成を通じて、ものごとを論理的に伝えることを学びました。寒水先生や共同研究者と熱心に議論し、学生のうちから実務上の課題を解決できた経験は、現在の仕事でも活かされています。

 

2019年度学位記・修了証書授与式

 

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