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特別企画「新体制後初の三者鼎談」2023年3月30日 東京理科大学の現況と今後の展望について
- 2023/5/1
- 大学, 理窓 2023年5月号
新体制後初となる理事長・学長・理窓会会長の三者鼎談を開催。増渕会長司会のもと、
浜本理事長、石川学長に東京理科大学の現況や今後の展望、理窓会への思いなどをお聞きしました。
■母校に対する思い
増渕会長 早速ですが、浜本理事長が理事長に就任なされて2年経ちました。理事長にとって東京理科大学は母校でもありますが、卒業生として母校への思いなどをお聞かせください。
浜本理事長 2年前の2021年に、本学は創立140周年を迎えました。そうした記念すべきタイミングで、歴史と伝統のある本学の法人代表として、大学運営の舵取りを行う重責を担うことになり、とても身の引き締まる思いでしたし、この思いは就任以来今日に至るまで変わっていません。
明治初頭に21名の若き学徒たちが東京物理学講習所を創設し、以来、「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神を胸に、多くの先人たちの不断の努力が代々受け継がれ、現在では、本邦随一の理工系総合大学として成長しました。そのような深い歴史を持ち、高い精神を受け継ぐ本学で学び、そして多岐にわたる分野で幅広く活躍されている同窓の一員であることを強く誇りに思っています。
この3年間、新型コロナウイルスの影響で、教育や研究活動における環境が大きく変わりましたが、困難の中でも勤勉に研究に打ち込み、立派に卒業していく学生たちと接していると、教育研究の本質は変わらず、本学の精神もしっかりと息づいていると実感しています。
創立150周年、その先の200周年においても、未来の後輩たちに理科大の精神をしっかり受け継いでいってもらえるよう、理事長として、大学を発展させていかなければならないと日々強く感じています。
■本学の印象
増渕会長 石川学長は東京大学で要職をご経験され、2022年1月に本学の学長に就任なさいました。学長就任前、本学をどのように見ておられましたか。また就任なさって1年経ちましたが、印象の変化などをお聞かせください。
石川学長 東京理科大学は理系私立大学の雄であるという認識を以前から持っていました。高い教育力と研究力を持ち、世の中に高く評価される人材を多く輩出し続けているところが大きな強みであり、これまでも、そしてこれからも社会を支え、世の中に影響を与える大学だと注目していました。
2022年1月に学長に就任して1年が経ちましたが、その印象は今も変わっていません。学長に就任して感じていることの一つに、本学の規模が持つ利点があります。国立大学や大規模な私立大学と比較した場合、本学は1学年4000人規模ですが、理工系に特化しているため、学内がまとまりやすく、新たな取り組みや改革を行う際に機動力があります。近年、社会の変化は加速していますが、スピード感を持ってこの変化に対応し、社会に対して価値を創造していくためには、機動力があることは大きな利点であると考えています。本学は2031年の創立150周年に向けて学部学科再編に取り組んでいますが、これは本学が時代によって変わる教育研究の在り方を考え、柔軟に変化し続けることができる証であると思います。高い研究力を有し、教育熱心な先生方が本学の強みであることも日々実感していますので、学長として引き続き全力で本学の発展に向けて取り組んでいかなければならないと感じています。
■今後の取り組みや展望
増渕会長 2023年の干支は癸卯(みずのとう)で、新しいことに挑戦するのに最適な年だそうです。十年一昔という言葉がありますが、現在は三年一昔と考えなければならないほど、DXやニューノーマルといったキーワードで時代が目まぐるしく変化しています。東京理科大学のあるべき姿など今後の取り組みや展望など、具体的にはどんなことを考えておられるのでしょうか。
浜本理事長 昨年策定した中期計画で、「⽇本の発展を⽀えてきた理科⼤」から「世界の未来を拓くTUS」へ発展することを宣⾔しました。この2026年度までの新しい計画では、8カテゴリーの21課題が新たに設定されています。その内容については、昨年の本誌9月号に掲載された概要をご覧いただければと思います。
少し前にも2022年の国内の出生数が80万人を割り、人口の将来推計の想定より11年も早い減少だとして話題となりましたが、大学を取り巻く環境も一層厳しくなることが予想されます。状況は目まぐるしく変わっておりますので、絶えず計画を見直し、アップデートしながらスピード感を持って取り組んでいきたいと思っております。
新型コロナウイルスが、この5月から、季節性インフルエンザと同じ5類相当に引き下げられることになりました。学業はもちろん、課外活動などを通じて、一段とキャンパスが活気づくことと期待しています。大学の教育・研究における施策については、石川学長のもとで具体化を進めていくことになりますが、今後も学長室としっかりと連携を取りながら、その施策に資する基盤を整備していきたいと考えています。
また、法人としては、現在工事中の葛飾キャンパスの新棟建設をしっかりと進め、その後神楽坂キャンパスや野田キャンパスにおいても、時代に即した再構築計画を進めてまいります。
石川学長 理事長のお話にあるように、本学は創立150周年を見据えて「TUS VISION 150」を掲げ、そのマイルストーンである中期計画2026では、「世界の未来を拓くTUS」へと発展することを宣言しています。大学としては教育、研究、国際化、学生支援といったカテゴリーごとに重点課題を設定して取り組んでいるところですが、引き続きこれらの計画を着実に実行していきます。
本学が育成する人材に関してお話しすると、本学は建学の精神とともに引き継がれてきた教育方針である「実力主義」の考え方を堅持していますが、時代に即した「実力」を持った人材を輩出していくことが重要です。「TUS VISION 150」では、イノベーション創出に貢献する人材、世界レベルのリーダーへと活躍できる人材、たゆみなく課題の解決に挑む人材を育成し、世界をリードする研究拠点、世界各国から人材が集う拠点の形成を目指すとしており、この背景には科学技術の構造の変化があります。現代においては、大学でひとつの分野を究めたからといって生涯にわたって通用する時代ではなくなっています。また、社会に対して新たな価値を創造すること、独創性が求められる時代です。このような背景を踏まえ、時代に即した東京理科大学の教育モデルを実現していきたいと思います。
■理窓会へのメッセージ
増渕会長 理窓会会長として温故知新を忘れず、アジャイル思考で更に新たなチャレンジの年にしたいと思います。お二人から本誌の読者である理窓会会員や同窓生に向けてメッセージをお願いします。ぜひ「理窓会」への思いをお聞かせください。
浜本理事長 先ほども触れました「中期計画2026」の中で、「卒業生と学生・教職員との連携活動の強化」を継続課題として掲げました。近年、他大学でも同窓会による現役学生への支援など、同窓会組織と大学の連携がより活発になっています。今後は、同窓生の間でのコミュニティの強化はもちろんのこと、従来以上に大学と理窓会の連携を強化していければと考えております。
以前にも述べましたが、中等教育で活躍されている先生方とのコミュニケーションの深化について検討を進めています。理学の普及を建学の精神とし、理工系総合大学の旗手である本学として、理工系人材を増やしたいという社会の要請に応えていく必要があると考えています。そのためにも、教育現場の最前線で建学の精神を実践する皆様と様々な情報を共有し、より良い教育を行うための取り組みができればと思います。また、教育分野以外の皆様とも、今後、DX等新たな視点を加えながら、連携・交流の機会を創出することで、同窓ネットワークの中核としての役割を果たせるよう努めてまいります。
皆様により一層の「愛校心」と「誇り」を抱いていただけるよう、東京理科大学の更なる発展のため、教職員や関係者が一丸となり尽力してまいりますので、引き続きご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い致します。
石川学長 理窓会を中心とする同窓生の皆さまにおかれましては、いつも本学の教育研究活動に深いご理解とご支援を賜り、感謝申し上げます。本学はこれまで多くの卒業生を輩出しており、多くの同窓生が世界中の様々な分野でご活躍されていることは学生にとってとても心強いことだと感じています。本学としましても、今後の東京理科大学の発展には、社会との連携のためのきわめて重要なチャンネルとして、同窓生の皆様のお力が不可欠です。同窓生の皆さまとの強い連携をもとに、新たな価値の創造拠点となるべく発展を続けてまいります。
全学一体となって、本学の発展に向けて尽力してまいりますので、今後にご期待いただき、引き続き変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い致します。
増渕会長 本日お話しいただいたとおり、時代とともに東京理科大学も日々変化しています。理事会、学長室、理窓会との歯車が合致し、同じベクトルで更なる発展を目指す、そのために理窓会会長として微力を尽くしたいと考えています。東京理科大学の卒業生であることを誇りに明るく胸を張って、希望に満ちた日々を過ごしたいと願っています。本日は貴重なお話しをありがとうございました。