平成28年度の学位記・修了証書授与式を挙行

また本学の建学の精神を英語で言いますと、Building a BetterFuture with Science です。この精神によって本学で科学を学んだ学生、院生は事実を直視し、事実を素直に認める謙虚さを修める必然があります。自我の成熟には、自己を突き放して客観的に見る目が何としても必要となります。客観的に自分を見ることができない原因は、虚栄心や不安感、自信の無さにもよりますが、人間には虚栄心や不安感もありますので、それらを認識した上でバランスを取り、折り合いをつけていくことが大切です。

ここで皆さんにお伝えしたいのは、人間であれば誰でも、非があり、欠点があります。自分には非がない、欠点がないと思い込み、それを密かに誇る心の姿勢。すなわち密やかな驕り、無意識の傲慢さです。それを作るのが理科大生が陥りやすい優等生意識です。人が自分の非を認めず、欠点を認めず、自分には非がないと思い込むときに周りの人の心は離れていくものです。

これから皆さんにはたくさんの出会いがあります。今後さらに人間関係で悩むこともあるでしょう。人との関係でトラブルが起こるとき、どちらか一方だけに非があることは、あまりありません。にもかかわらず、自らの非を認めず、相手の非のみをあげつらい、争い事を起こす。それを避けるために、その人間関係から逃れ、その苦痛から逃げ、自分の成長の課題から目を背けてしまうと、一時的に解決したようでも、いずれ同じような問題に巻き込まれ、自らの成長の課題をふたたび突きつけられることになります。

これからの人生の出来事は、自分に何を問うているかの連続です。自ら磨き続けて、自分の姿、他人の姿、物事の姿が曇り無く、見えるようになっていただきたいと思います。

皆さんは好むと好まざるを別にして、人の上に立ち、指導し、集団を一つの方向に導く立場にいずれなるでしょう。常に謙虚な姿勢で自らを磨くことにこれからも励んでください。

最後に、皆さんは今日から東京理科大学の同窓となり、理窓会の会員となられます。本学は明治以来、同窓会の支援のもとに発展してまいりました。

これからは皆さんもまた、同窓生として理窓会に加わっていただき、これから本学の歴史と伝統、理大生としての誇りを後輩に伝承し、本学の発展にご尽力いただきますよう、心からお願い申しあげます。皆さんが健康に恵まれ、心豊かな人生を送られんことを祈念して、私の祝辞といたします。

※学長、理事長の挨拶全文は大学HPでご覧になれます。

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